バイオマトリックス イノベーション
キーワード: 細胞外マトリックス / コラーゲン / 細胞内輸送 / 難治性疾患 / 生体修復材料
細胞外マトリックスは、細胞間に存在することで組織・器官を物理的に保持すると共に、細胞外の生理活性物質を留め、その濃度勾配を作ることで細胞の増殖・分化などにも重要な役割を持っています。細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンは、食品添加物や化粧品成分として注目を集めており、特にこれからの高齢化社会では、年齢と共に減少するコラーゲン量を保持することが必要となっています。また、角膜実質や皮質骨といった重要部位を構成する特別な構造のコラーゲン線維が、生体修復材料開発からも重要となっています。さらに、コラーゲンの量的、質的な異常は、組織線維症、膠原病、関節リウマチといった厚生労働省認定の難治性疾患と深く関連している点でも重要な研究対象です。
一方、コラーゲンを含む細胞外マトリックスは分子レベルでの研究が遅れており、問題解決が困難となっています。我々のグループでは、新たに開発した「コラーゲン生合成過程可視化システム」を1つの柱として、分子細胞生物学、細胞工学、材料工学、人工組織学の研究手法により、細胞外マトリックス、特にその主要成分であるコラーゲンの生合成過程を分子レベルで解明し、開発の遅れている細胞外マトリックス分野のイノベーションを目指します。